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aws

Amazonといっても通販の方ではなく、EC2やS3クラウドサービスのAWS(Amazon Web Service)のほうです。

複数の人から噂を聞いたのですが、もし本当なら日本のデータセンター業者にはSalesForceやGoogle Appsより大きなインパクトのある黒船となりそうです。今まで英語の壁と、ドル建てカード決済のみ(1万ドル/月額以下の場合)と仕事では使いづらかったのですが、日本語サポートと、国内通貨決済、請求書ベースになるだけでも、国内企業の利用が進むと思います。

さらにKindleサービスを日本でも展開するためにも国内でデータセンターを開設すれば、国内データセンター各社も生き残りをかけて大競争になる事は間違いありません。国内データセンターサービスはここのところサービス内容と価格が高止まりしていただけに、ユーザーとしては大競争になる事は歓迎されます。

しかしAWSの日本進出は、単に価格だけではなく従来の国内IT業界のビジネスモデル、流通構造さえ破壊するのではないかというのが私の考えです。つまり、AppleがiPhoneとiTunes Storeで音楽/ビデオの流通構造を変えてしまったように、AWSとAMI(Amazon Machine Image)でソフトウェア流通の流れを変えてしまうのではないでしょうか?

実際、EC2で必要なAMIを選んでサーバーをたてたり、ストレージを作ったりする事は驚くほど簡単で安く(本当に小遣い程度で開始出来ます)、お金さえ払えばクリックだけで数千サーバー/ペタバイトストレージまで大規模に拡張できる便利さは、日本のユーザーにもすぐに受けいられるのではないでしょうか?

規模によるコストメリットで国内各社がGoogleやAmazonに対抗する事はほぼ不可能ですが、そこであきらめるのではなく日本企業にがんばって欲しいのは、GoogleやAmazonが成長しているのはコストメリットではなく独創的なビジネスモデルとそれを実装出来る技術力であり、それを超える事は決して不可能ではないと思うからです。

クラウドサービスは言葉先行で実態が伴っていないもので、セキュリティ面での問題もまた改めて取り上げたいと思っていますがいろいろ懸念点があるものです。もしAWSが日本に来ても黒船来襲として短絡的な反応をするのではなく、大きなチャンスとしてどうすればお客様によりよいものを提供出来るかを考えていきたいと思います。

そろそろ世の中の「クラウド」話も出尽くしてきた感があるので、この辺りで私なりに整理したいと思います。昨年からの「クラウド」の大合唱はIT関連で久々の流行語大賞のような気がしますが、これだけ言われるという事は単なるバズワードではなく、構造変化の底流があるように思います。

まずは、米国 NIST(National Institute of Standards and Technology:国立標準技術研究所)の定義から。“The NIST Definition of Cloud Computing” Authors: Peter Mell and Tim Grance, Version 15, 10-7-09 ( http://csrc.nist.gov/groups/SNS/cloud-computing/ )

『クラウド・コンピューティングとは、(利用者にとって)最小限の管理労力、あるいはサービス提供者とのやりとりで、迅速に利用開始あるいは利用解除できる構成変更可能な計算機要素(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービス)からなる共有資源に対して簡便かつ要求に即応できる(オンデマンド)ネットワークアクセスを可能にするモデルである。』

クラウド・コンピューティングが満たすべき5つの条件

On-demand self-service
オンデマンド・セルフサービス
ユーザー自身が提供者の手をわずらわせずに、必要に応じてコンピューティング資源を利用できる。
Resource pooling: Location independence
リソースのプーリング
コンピューティング資源がプーリングされており、必要に応じて割り当て・解放可能になっている。ユーザーは物理的な場所については意識する必要がない。
Rapid elasticity
迅速な弾力的拡大・縮小
ユーザーの必要に応じて瞬時に処理能力を拡大したり縮小できる。
Measured service
計測されたサービス
リソースの使用量が自動的に計測され、最適化される。また提供者だけでなくユーザーからも監視、コントロール、レポートが可能。

これだけでは今ひとつピンとこないしこの条件に当てはまらないものも「クラウド」を名乗っていますので、私なりの「広義のクラウド」を定義したものが、下図のような従来のASPやSaaSまで含めてのサービス基盤です。これだと、世の中の「クラウド」サービスはほとんど当てはまると思います。(自社所有のいわゆるプライベートクラウドは、ここでは論じません)

しかし、従来のASPやSaaSになかった「クラウド」の大きな特徴は、
1.超スケーラビリティ(数十万ユーザー、数千ノード、数PB以上)
2.数分で立ち上げられ、数分でやめられる、リアルタイムオンデマンドサービス
3.完全従量課金、使わなかったら払わなくて良い
の3点です。

1.の超スケーラビリティは一般企業の業務ではあまり関係ないかもしれませんが、2.3.はユーザー企業の購買行動に大きな変化をもたらします。つまりこれまでは企業で何らかのシステムを使い始めるためには、少なくとも数ヶ月と数百万円くらいは必要だったのが、数日で数千円からで可能になり、不要だとわかったらすぐやめられるようになった訳です。

もちろん企業に「クラウド」が普及するためには、セキュリティやガバナンスなどまだまだ足りないピースがありますが、サービスプロバイダにとっては数分で顧客を獲得出来る代わりに数分で失う事にもなり、ソフトウェアベンダーにとっては使わなくても使用料金を払わなければいけなかったのが当たり前だったのが、使わなかったら払わなくて良いのが当たり前の時代がやってきます。

このようにユーザーのスイッチコストが限りなく小さくなっていく方向は、OSS(オープンソースソフトウェア)の普及によってさらに加速すると考えられます。また、Hadoop MapReduceのようなクラウド技術によってこれまで不可能であった大量高速データ処理が可能になったように、「クラウド」でないとできない事はOSSが主体になってきています。

AmazonやGoogleなど本来ITベンダーではない企業が「クラウド」とOSSをリードしていることも、彼らが本業のITインフラコストがどんどんふくれあがる事を抑制するために真剣に考え続けた結論が、他の企業にオープンし共有する戦略だと考えられます。この結果「クラウド」とOSSはこれまでのIT業界の地殻変動を起こし、ユーザーを囲い込むのではなくユーザーにとっての本当の価値を共有できるベンダーが生き残っていくのではないでしょうか?